逗子市小坪戸建て

今回の案件は逗子市小坪一丁目の木造2階建ての戸建てです。 購入希望者からのお問い合わせでした。もうすでに売買契約を済ませているとのこと。お問い合わせの内容は、築20年を経過しているので耐震基準適合証明が欲しいけれど、仲介の不動産会社からは「耐震基準適合証明書」は取得できないといわれたので、インターネットでクランツ事務所を捜し当てて問い合わせをしてきたそうです。

このサイトの他のページでも触れていますが、そもそも戸建ての耐震基準適合証明はハードルが高いので、構造的に耐震強度をクリアーできない建物なので発行できない・・・なら解かります。耐震診断をすると8割程度は強度不足でNGになるからです。

でもお話をうかがってみるとどうもそうではありません。 この案件は確認申請は取っているけれど検査済み証がないとのことでした。検査済み証が無いだけで発行不可とはおかしな話です。検査済み証の有無よりも耐震強度の有る無しが必須の証明書ですが、どうも検査済み証があれば昭和56年6月1日以降の物件なら発行していると思われる事務所のやり方と見受けました。

依頼人には、検査済み証の有無よりも実際の建物の強度が基準値以上に有るか無いかが必須なので、まずは簡単な販売図面をメールで見せて欲しい旨伝えました。 正式な耐震診断をする前に、合否のおおよその目安を判定します。 販売図面等でおおよそ三つのパターンに分かれます。 一つはまったく可能性の無いものが7割程度、もう一つはほぼクリアーすると思われるものが1割程度、後の二割は実際に計算してみないとなんともいえない微妙なものに分かれます。この事前判定で可能性が無いなら、耐震基準適合証明書の取得はあきらめていただくことでご理解をいただきました。

送っていただいた販売図面を見たところ、大丈夫だろうと思われるものの、実際に計算をしてみないと解からない微妙といえる住宅でした。 依頼主にはその旨をお伝えし、可能なら建築確認申請の設計図の提供をお願いしましたが、紛失しているとのことでしたので、現地調査にて構造確認をすることになりました。

現地調査

逗子市小坪戸建て

この住宅は長方形の総2階のとてもシンプルな構造です。 平面的にも立面的にもとてもシンプルで構造的に無理な補強をする必要がないので、地震には強い建物です。 プラン的にいただいた図面とは若干異なる部分はあるものの、構造計算上はほとんど影響の無いものでした。床下点検口と天井点検口にて軸組みと筋交の確認を行いますが、この住宅は木造軸組みのパネル工法であることがわかりました。構造用合板を使用して、通常の二つ割や三つ割の筋交を配置していません。

現地調査のデータを持ち帰り、実際にデータを落とし込んで計算したところ、上部構造評点の最小値がぎりぎりの1.12となりました。ぎりぎりセーフです。この最小値は1階のY方向で、リビングダイニングを広く取るためにY方向の壁が少ないことに原因があります。

クランツ事務所では耐震診断にて数値をクリアーした住宅に対して「耐震基準適合証明」の発行と同時に「耐震診断書」も発行しています。計算上の数値はあくまで建物本体のポテンシャルを示しているだけなので、建物の強度をスポイルするような使い方は極力避けるように助言をしてこの案件をクローズしました。