検査済証の無い戸建では「耐震基準適合証明書」は取得できない?

個人の方からの問い合わせがありました。問い合わせの内容は、「中古戸建の売買契約を締結したが、仲介会社から検査済証が無いので耐震基準適合証明書の発行は出来ない」と言われたが、クランツ事務所で何とかなりませんか?・・・・というものでした。

この問い合わせについては下記の通りの回答をしました。
①検査済証が無くても可能性がある。
②逆に検査済証が有るだけでは発行は出来ない。
③耐震基準適合証明書が発行できるのは、耐震診断にて基準値のクリアーが確認できる場合のみ
④S56年6月以降の2階建ての木造戸建でも、耐震診断では7~8割の住宅がNGとなるほどハードルが高い。

上記のことをお伝えしました。 その回答に対して、可能性があるなら審査をお願いしたいとのことで、取り組むことにしました。 ちなみに審査の結果、構造様式が2×4工法で、耐震診断の結果で合格となったので発行に至りました。

この一連のやり取りで推測できることは、仲介会社が斡旋する事務所が考える適合証明書の要件に、「検査済証」があることとしているのでしょう。検査済証が有れば耐震性の検証を行うことなく耐震基準適合証明書の発行をしているものと思われます。しかしながらこれは大きな間違いです。

多分、担当している仲介会社側の建築士事務所は、「マンション」の耐震基準適合証明書の発行要件と混同している可能性があります。マンションの場合で根拠とするものが「検査済証」ですが、これには根拠があるのです。マンションでは「検査済証」ですが、戸建では「検査済証」が有るだけではダメなのです。その理由は下記の通りです。

基本的に建物を建てる場合には「建築確認申請」が必要です。設計図に添付する書類の一つに「構造計算書」があります。これらの書類を基に審査が行われ、耐震性の適合性が確認できたものに対して「確認済証」が発行されます。この段階で耐震性のお墨付きが出るわけですが、2階以下の戸建については「構造計算書」提出が必要有りません。よって戸建については「確認済証」は発行されていても耐震性の適合性は確認されていないのです。

国土交通省の通達では、証明書を発行するに当たって適合性の根拠を提示することが求められています。上記説明の通り戸建の「確認済証」はその根拠とは成り得ません。根拠を示す方法は三つの方法が明示されていますが、三つの中で最も現実的な方法が「耐震診断による耐震性の証明」なのです。

戸建の耐震基準適合証明書には必ず「耐震診断」が必要です。 検査済証のみで適合証明書を発行する事務所は上記のことを知っていながら受けているモラルのない事務所か、または上記のことを知らない無知な事務所かのいずれかでしょう。私的には無知な事務所だと思うのですが。